耳の病気
耳の病気の治療

耳の病気はいろいろな原因が考えられます。

例えば次のようなことが気になる方は。一度ご相談ください。

 

・耳鳴り ・中耳炎 ・急性中耳炎 ・滲出性中耳炎
・外耳炎 ・外傷・異物の混入 ・難聴 ・補聴器外来
・耳下腺炎  ・ハント症候群 ・顎関節症 ・耳のまわりのリンパ節炎

■耳鳴り

『外で音がしていないのに、耳の内や頭の中でキーンとかジーンとかの音がする』状態を耳鳴りといいます。

日常診療の中で、他の症状に伴って耳鳴りを訴える患者さんは非常に多いのですが、中には耳鳴りを主な悩みとして来院される方も多くいらっしゃいます。

耳鳴りには他覚的耳鳴りと自覚的耳鳴りがあります。他覚的耳鳴りとは自分だけでなく、他の人も聞くことのできる耳鳴りです。自覚的耳鳴りとは自分だけが感じる耳鳴りです。ほとんどの耳鳴りは、この自覚的耳鳴りです。

 


○他覚的耳鳴り

のどや耳の近くの筋肉がけいれんしたり、動静脈瘻(どうじょうみゃくろう)のように血液の流れの異常によって起こったりします。

 


 

○自覚的耳鳴り

空気の振動が音として感じるまでの経路、すなわち、外耳道→中耳→内耳→聴神経→中枢(脳)までの聴覚系のどこかに、なんらかの異常があって起こります。しかし、聴覚系に異常がなくても、過労やストレス、自律神経失調、うつ病などによっても起こります。

また、全身的には血圧の異常、貧血、糖尿病、高脂血症、甲状腺疾患などで影響を受けたり、頚椎の異常や肩コリも耳鳴りを起こすことがあります。

耳鳴りが何故起こるか、そのメカニズムはまだはっきり分かっていません。

 


 

○耳鳴りの治療法

耳鳴りを確実になくす方法は難しいですが、軽くする方法はあります。

薬物療法

耳鳴り緩和剤や聞こえの神経に働く薬、ストレスを抑える薬などの飲み薬を使用します。

マスカー療法・TRT療法

耳鳴り音よりも少し大きな雑音を人工的に作り、それを聞くことで耳鳴りを一時的にさえぎります。

心理療法

カウンセリングや自律訓練などを行い、耳鳴りのことを知って、自己コントロールで気にならないようにする方法です。

 


 

○日常生活での注意点

耳鳴りはストレスによってひどくなっていくことがあります。そのため、ストレスのない穏やかな気持ちで暮らせば、耳鳴りは自然に気にならなくなっていきます。

気を付けましょう 過労・睡眠不足・興奮・ストレス・タバコ(内耳の血流を悪くします。
耳鳴りが大きくなることがあります。 お酒(適量を守りましょう)・刺激物
 ストレス解消のために

楽しめる趣味・十分な睡眠・適度な運動・バランスのとれた食事

入浴(長時間、高温の入浴は控えましょう)

耳鳴りが小さくなったと安心して、悪化の原因となりそうなことを試すと、耳鳴りがまた大きくなることが多いです。

 

 

■中耳炎

中耳炎とは、中耳腔という所で起こった炎症をいいます。

中耳腔は鼓膜と骨で囲まれた小さな部屋で、鼓膜の後に小さな耳小骨が三つ連結して中耳の後の内耳に音を大きくして伝える機能を持つ重要な器官です。

中耳炎にかかると、中耳腔に膿がたまって鼓膜が腫れるために痛みを起こしたり、部屋にたまった液のために耳小骨が音に反応しなくなって、聞こえが悪くなります。

中耳腔から耳管という管が、鼻の奥の喉と鼻の境のあたりに開口しています。

鼻や喉の細菌がこの管を通って中耳におよび、感染を起こし中耳炎を起こします。

 


○慢性中耳炎の症例

耳漏の停止後、鼓膜形成術、鼓室形成術を施行し、聴力の改善を考える。


 

 

急性中耳炎

急性中耳炎は、子供の感染症の中で最も多いものの一つです。

風邪が原因であることが多く、鼻やのどに付着したウイルスや細菌が、耳管(じかん)という細い管を通って中耳に入り、感染することで起こります。

特に、乳幼児では感染に対する抵抗力が弱く、耳管が充分に発達していないため、ウイルスや細菌が侵入しやすく、急性中耳炎が起こりやすくなります。

 

急性中耳炎の症状

  • 耳の痛み
  • 耳がふさがった感じ
  • 耳だれ
  • 熱を伴うこともある
  • 赤ちゃんの場合、むずかったり急に泣き出したり耳によく触ることなどで症状を表現していることがある。

 


 

急性中耳炎の治療法

症状にあわせて次のような治療を行います。

薬物療法

原因となっている細菌の増殖を抑えるために抗菌薬(飲み薬や点耳薬)を投与します。症状が重い時は、点滴投与を必要とすることもあります。熱や痛みがひどい時は、解熱薬や鎮痛薬を投与します。

鼓膜切開

化膿して中耳にうみがたまった時は、鼓膜をきってうみを出すようにします。鼓膜は切っても自然にふさがりますから心配はいりません。

うみが出た後は、清潔にして、完全に治るまで抗菌薬を投与します。


 

急性中耳炎の治療プラン

急性中耳炎はきちんと治療しないと、慢性中耳炎や滲出性中耳炎を起こし、難聴の原因になることがあります。症状によって治療にかかる期間は違いますが、完全に治るまで、しっかり治療することが大切です。

 

 

滲出性中耳炎

滲出性中耳炎は、中耳に水(分泌液)がたまり、鼓膜の振動が悪くなって耳が聞こえにくくなる病気です。次のような時に起こります。

  • 風邪や急性中耳炎により中耳の中に分泌液がたまる。
  • 耳管の鼻の方の入り口がアデノイド(咽頭扁桃の肥大)などでふさがり、中耳の空気の出入りが悪くなっている。
  • 急激な気圧の変化を受け、中耳の気圧の調節ができない。
  • 耳管の働きが低下している。

 

滲出性中耳炎の症状

  • 耳が聞こえなくなる
  • 耳がふさがった感じがする
  • 耳鳴りがする(熱や痛みはなく、耳だれもありません)

【こんな症状があったら要注意】

  • 呼んでも返事をしない
  • 聞き返しや聞き間違いが多い
  • テレビの音を大きくしたい、近づいて見る
  • よく耳を触る

 


 

滲出性中耳炎の治療法

滲出性中耳炎には様々な段階があり、患者さんによって治療法が異なりますが、主に次のような治療を行います。

局所治療

耳管通気:鼻から空気を送り込んで、耳管の通りを良くする。

鼻咽腔処置:中耳炎の原因となっている鼻の病気(副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎)を改善させる。

薬物治療

抗菌薬:マクロライド系抗菌薬は抗菌作用の他に、滲出性中耳炎の炎症を抑えることが分かり、広く用いられている。

粘液溶解薬:分泌液をやわらかくし、耳管から出やすくする。

外科治療

鼓膜切開:中耳にたまっている分泌液を出す。

鼓膜チューブ留置術:再発を繰り返す時に行う。

アデノイド切除術:耳管をふさいでいるアデノイドを取り除く。

 

 

外耳炎

外耳、中耳、内耳、の3ヶ所に耳は分けられ、耳介(じかい)から鼓膜までの部分にただれや、できものができたものを外耳炎といいます。

外耳の皮膚に傷をつけたり、汚い水などが入ったりして、細菌やカビによる炎症を起こしています。耳を引っ張ると非常に痛がるのが特徴です。


○外耳炎の症例

真菌性外耳炎(59歳女性)

白色の塊がカビです。洗浄後に抗真菌剤を塗布します。掻痒感、灼熱感が強く、軽度の疼痛を伴う。


 

 

外傷・異物の混入

○鼓膜外傷の症例

右鼓膜外傷(60歳女性)

耳掃除中に誤って鼓膜を損傷することが多い。

耳垢と凝血塊が穿孔部に付着している。除去後鼓膜の再生を待つ。



 

○鼓膜外傷の症例

左外耳道異物(虫)

どんな虫が入ったか分からない場合は自分で取り除こうとせず耳鼻咽喉科で除去してもらいましょう


 

 

難聴

難聴は代表的な耳の症状です。

例えば、耳あか、鼓膜損傷(鼓膜に穴があいてしまった)外耳道異物、急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎等では耳の中を見るとだいたい原因が分かります。

しかし、内耳炎、音響外傷(急に大きな音を聞いてしまったという一種の事故)、慢性の騒音性難聴、突発性難聴等では耳の中は正常に見えることもあります。


 

 

補聴器外来

補聴器を見直してみませんか?

 認知症やうつ病の予防にもなります。

 難聴を放置すると「認知症」や「うつ病」の発症に関係することがわかってきています。

 聴力を元に戻すことは難しいことですが「補聴器」を使うことにより脳への音刺激を取り戻すことができます。

 人の声ばかりではなく、周囲の環境音を取り込んで脳を活性化しましょう。

      

最近、こんなことありませんか?

  • 会話をしている時、しばしば聞きなおすことが多くなった。
  • テレビの音が大きいと、家族にいわれることがある。
  • 銀行や病院などで名前を呼ばれても、聞きのがすことがある。
  • ドアチャイムや、電話の呼び出し音を聞きのがすことがある。

上記のことが気になったら、一度補聴器外来へご相談ください。

 

○補聴器外来の流れ

①純音聴力検査・語音聴力検査

「音の聞こえ」と「言葉の聞き取り」それぞれ検査し、聞こえの状態を正確に調べます。

②聞こえの状態の説明

「音の聞こえ」「言葉の聞き取り」などの、ご自身の「聞こえ」の状態をご理解して頂きます。

➂補聴器の説明と選択

形、機能などを分かりやすく説明し、ご自身の聞こえの限界と、補聴器の機能的な限界をご理解して頂きます。その上で「本人様にあった補聴器とは?」を中心に、聞こえと操作性を考慮した選び方をご説明し、実際にその場で試聴して頂きます。

④1週間の補聴器試聴と確認

ご本人様の希望があった場合、1週間ほど実際の生活の場面で試聴して頂けます。その後補聴器の効果がない場合は中止し、効果があり使用者自身が購入の意思がある場合、補聴器の選定をいたします。

➄年に数回の定期点検

ご購入の場合は、年に数回ほどお客様のきこえの状態を伺いながら、補聴器の調整を含めたメンテナンスを行います。

 


 

補聴器の種類と特徴

大きく分けて4つのタイプの補聴器が製品化されています。中でも、最近特に人気があるのは「耳あな形」のものです。

専門家に相談して、あなたにふさわしい補聴器を選びましょう。

耳あな形

耳の中に収まるタイプ。目立たず、音の「聞こえ」も自然です。個々にあわせて作るオーダーメイドタイプが一般的です。

耳かけ形

耳にかけて使うタイプ。取り扱いやすく種類や性能も豊富で根強い人気があります。専用の耳型で、ピーピー音が防げます。

ポケット形

本体をポケットに入れてイヤホンとコードでつなぐタイプ。操作が比較的簡単で、器種によっては大きな音量が出ます。

メガネ形

メガネのツルの部分に補聴器を内蔵させるタイプ。音を骨に直接伝える骨導式もあります。